俳句の研究が英誌「エコノミスト」で紹介されて

『エコノミスト』4月10日号(マクマレイ研究室提供)

私が長年にわたって取り組んできた俳句研究の成果の一部が、英国の経済誌に掲載されました。「季節は規範を無視するように」のタイトルで『エコノミスト』アジア版(4月10日号)に掲載されたほか、「気候変動によって傷つけられたもう一つの種〜日本の詩人たち」と題して同誌電子版(4月8日)にも掲載された記事です。その一部を日本語の要約で紹介します。

「何世紀にもわたって俳人たちは、季節や特定の月々によって人間現象を最も自然に分類し、歳時記という季語の手引きを編集してきた。

「しかし気候が温暖に、そして天候がより極端になるにつれて、季語は実際の季節との密接なつながりを失いつつある。

「この『季節のクリープ』(季節の歪み、昔と今とで季節にズレが生じていること)は、現代の読者たちが伝統的な俳句を理解するのを難しくしていると、鹿児島国際大学で俳句の形式や様式を教えているデイビット・マクマレイ教授は言う。

「ハイクイスト(俳人)にとって『季節の歪み』とは、京都における季節が移り変わるタイミングの変化を指す。例えば、桜の早咲きや楓の葉の色づきの遅さである。夏が以前よりも長くなり冬が短くなる兆候は、北半球の温帯地域のハイクイストによって観察されている。ハイクイストは季節の遷移のタイミングを記録する『フェノロジスト』(生物気候学者)である。俳人=気候学者たちは、松尾芭蕉が発句(ほっく)を書いた17世紀以来、季節に関わる出来事が観測されたタイミングの重要な変化を記録している。20世紀の終わりから21世紀に至るまで、気候の変化は俳句を変化させてきたのだ。」

国際文化学科教授 マクマレイ デビッド(英語・国際俳句)

鹿児島国際大学の染井吉野は見頃です(マクマレイ研究室提供)