コロナ時代の出版とメディアめぐり訪問調査

右から川畑善博社長、井上さん、2人おいて中村優太さん。写真撮影のためにマスクを一時的に外しています(小林潤司研究室提供)。

小林潤司ゼミでは、有志の学生3名が11月20日に、「コロナ禍における出版業界とメディアの現状」に関する調査のために、鹿児島市にある株式会社ラグーナ出版を、訪れました。

ラグーナ出版は、精神障がい者就労継続支援A型事業所という側面を持っており、一般企業などでの就労が難しい障がいを持っている方に働く場所を提供する目的で設立された出版社です。代表取締役社長の川畑善博さんによると、メンタルヘルスに関する本を中心とする書籍出版と精神障がい者の職業訓練を行っているとのことです。実際に働いている現場を見学させていただきましたが、皆さんがとても生き生きとした表情で熱心に仕事に取り組んでいる姿が印象的でした。

見学では、編集部や本の整備・製本・修理を行っている現場を見させていただいたのですが、他の出版社では見られないグッズの制作・販売や、本を1冊から手作りするなど、1つ1つに人の温もりを感じることができる会社でした。「あせらず、ゆっくり確実に、健康に」をモットーに、利益よりも共に働く精神障がい体験者の心身の健康を第一に考えているからこそ、働く皆さんの瞳が燦々と輝いているのだと、ラグーナ出版の他の出版社にない強みとメンタルヘルスに取り組む姿を今回の見学を通して、知ることができました。

コロナ禍の中で、名刺印刷の受注が激減するなど試練もありましたが、営業部の中村優太さんによると「巣ごもりで物を書く人が増え、自費出版事業が好調なのと、『旅をする本』(丸山晃著)というブックガイドの売れ行きも堅調」とのことで、「今後は電子書籍の強化などに取り組みたい」と、新たな事業展開に手ごたえを感じている様子でした。

また、今回の訪問を通して、精神障がいとは、誰でもなり得るものであり、外から見ればわからない病気だからこそ、自分一人で悩み抱えて焦ってしまうものなのだと、自分自身の精神障がいに対する認識を改めることができました。

国際文化学科3年 井上 吉祥