日置市扇尾地区で公開講座を開催

カズオ・イシグロについて語り合う小林教授と荒神さん(写真はすべて扇尾地区公民館提供)

3月12日に日置市扇尾地区公民館で同公民館と本学科英米言語文化研究室(小林潤司ゼミナール)の共催で第4回の公開講座が開催されました。講座は2部構成で、第1部はミニゼミナール「人間の条件を問うAI――カズオ・イシグロの『クララとお日さま』を読む」、第2部は「世界一受けたい英文学講義」の第4回「世界一貴重な戯曲本のはなし――第一フォリオ版全集刊行400周年を記念して」。

第1部では小林ゼミの学生でイシグロをテーマに卒業論文を執筆した荒神珠稀さん(国際文化学科4年)と小林教授が対談の形式で、2021年に刊行された最新長編『クララとお日さま』についてわかりやすく解説。『クララ』は、AI搭載のアンドロイドが語り手を務める小説ですが、荒神さんは、機械が限りなく人間化し、人間が限りなく機械化している近未来を舞台に「人間とは何か」という根源的な疑問を考察する問題作だと結論づけました。

第2部では、今年(2023年)刊行400周年を迎えた、シェイクスピアの第一フォリオ版全集について小林教授がレクチャー。高精細写真で復元したレプリカを見せながら、フォリオ版全集の出版の経緯、書物としてのユニークさ、いまだに残された謎の数々について説明しました。

参加者のみなさまからは「イシグロ作品は映画を通して触れたことはあったが、『クララとお日さま』はぜひ本で読んでみたい」、「小林先生の親しみやすい語り口で、文学の世界を身近に感じることができた」などのありがたいお言葉をいただきました。