外薗教授の最終講義


平成29年度末で退任される外薗幸一教授(印度哲学・仏教学)の最終講義が2月26日に学内で開催され、学内外から約50名が受講しました。

外薗教授は昭和50年に経済学部助手として着任してから40年間以上にわたって本学で「倫理学」「哲学」「教育哲学」などの科目を担当。国際文化学部の開設に尽力し、平成12年の開設と同時に経済学部から国際文化学部に移籍。大学評議員、国際文化学部長、大学院国際文化研究科長などを歴任し、学部の発展に大きく貢献されました。研究者としては仏伝文学の研究に一貫して取り組まれ、その成果は『ラリタヴィスタラの研究』などの著書にまとめられています。

中村了昭名誉教授の紹介に続いて行われた最終講義「苦海と涅槃」では、命には、個体ごとに切り離された有限の「生命」に対して、個体と世代を超えて無限につながりあう「いのち」の一面があることを指摘した上で、唯識思想の核心を深層心理学のスキーマを用いてわかりやすく説明。仏教思想のなかでも理解が難しいとされる「輪廻」の概念をやさしく解き明かしながら、無我と慈悲心の働きによって「苦しみを楽しむ」境地に到達し、命の一体感を獲得することがすなわち「涅槃」であると結論づけました。

会場には外薗ゼミの卒業生も多数詰めかけ、小さいお子さんを連れて聴講する姿も。和やかな雰囲気のなかで、ひと時、学生時代に戻って先生の講義に耳を傾ける元学生のみなさんの姿が印象的な最終講義でした。