三田村「源氏」の響きに魅せられて――学部主催講演会を開催

講演中の三田村雅子先生

11月9日の午後、本学710教室でフェリス女学院大学名誉教授で『源氏物語』研究の第一人者の三田村雅子先生の講演会が開催されました。テーマは「『源氏物語』「若菜下」巻の「女楽」」。

講演で三田村先生は、位人臣を極めた光源氏が、その美意識の粋を集約して造営した六条院でゆかりの女性4人に合奏させる「女楽」の場面を精緻に分析。演奏する楽器の選択、演奏の巧拙や特徴などに、それぞれの女性たちのパーソナリティや光源氏との関係、女性たちが相互に抱く複雑な心情などが鮮やかに映し出されていることや、光源氏を焦点の中心として展開してきた物語が、この場面をきっかけに、新しい世代の人物たちによる多焦点的な物語へと展開していくことなどを、朗々とした本文の朗読を交えながら、わかりやすく解説してくださいました。

休憩をはさんで、『源氏』の女楽にインスピレーションを受けて現代音楽作品を作曲した音楽学科の久保禎教授、国際文化学科の武藤那賀子講師も加わっての鼎談があり、様々な形で翻案作品を生み出し続ける『源氏』の魅力について、さらに理解を深めることができました。

会場には学生、教職員、一般市民のみなさまを合わせて150名を超える聴衆が詰めかけ、熱心に耳を傾けておられました。