武藤ゼミが中古文学会に参加

鴻臚館跡展示館を見学する学生たち(写真はすべて武藤研究室提供)

武藤ゼミ(日本古典文学)のゼミ生は、2025年10月25日・26日に福岡大学で開催された中古文学会に参加した。今回の学会参加は、学生たちの要望により実現した。

25日は6本の研究発表があり、26日には4本の研究発表とシンポジウム「本文研究はどのように作品論へ繋がるか」があった。なお、シンポジウムには、ゼミ担当である武藤那賀子がパネリストとして登壇した。

以下に、学生たちの学会に参加したうえでの感想を掲載する。

➀黒肬音葵(国際文化学科4年)
 文章でしか知ることのできなかった、先生方の研究の内容・考えを、実際にお会いし、実物や画像を交えて説明していただくことで、より深い理解と新たな興味・関心の発見につながった。
 また、その後の懇親会で、院生の方々が「どのように研究していったのか」や「ものの考え方」についてもお聞きすることができ、今後の論文作成に非常に役立つ視点をいただくことができた。
 最後に、研究するだけでなく、その結果を教育にどうつなげていくかに関しても、実際に現場で働く人を交えた議論がなされていて、今後、自身が教育に携わっていく中でも、忘れてはならない貴重な内容であった。特に、今回のテーマであった、「本文研究がどのように作品論につながっていくのか」という観点でみていくと、それを教育に落とし込んだ時、作品に関わらないと思われがちな知識(例えば、当時の時代背景や筆者の思想以外の本文自体の基礎知識や諸本の扱われ方など)について、どこまで教えるべきかを、今一度教員側も考えておく必要があると分かった。

②坂口彩(国際文化学科4年)
 学会前に資料集で発表内容を確認したときは、読んだことのない作品や聞き慣れない言葉が多く、「本当に発表を聞いて理解できるのか」という不安があった。しかし学会に参加してみると、直接説明を受けられたから理解できた場面が多くあり、とても深い学びを得ることができた。また、学会発表のなかでは知っている言葉や学んできた考え方(記号論)が少し出てきた。このことを受け、学会の場で使われるような言葉を大学で学べていたこと、そしてその言葉をきちんと理解できていたことに気づき、自分に自信を持つことができた。
 私はいま卒業論文を執筆している最中で、相手に自分の考えをわかりやすく伝えるためにはどうするべきか、日々悩んでいる。そんななか、学会後の食事の際に「うまくアウトプットができないときは、インプットが足りていない証拠。書き進められなくなったら、一度インプットの量を増やすことが大切だ。」と、他大学の大学院生の方から教えていただいた。今後の卒業論文執筆において大変参考になることを教わり、勇気を出して学会に参加して本当によかったと心から思っている。

③菅間魁心(国際文化学科3年)
 今回中古文学会に参加し、これまでの自分の視点がひっくり返されるような発表がかなり多かったことが印象に残っている。フィクション作品に登場するものの在処を現実から特定するという発表と紙に書くことで成立する和歌という発表が特に印象深かった。
 また、発表を聞くに当たっての前提知識が足りていないことを痛感した。先生方の発表内容の3割ほどしかその場で理解出来ず、質疑応答の場面では、質問とそれに対する答えの両方を全く理解することができなかった。そのため、今回の学会参加を通して大学での学びに対してモチベーションが非常に高まった。

なお、今回は福岡を訪問したので、このほかに、九州国立博物館で開催されている特別展「法然と極楽浄土」、大濠公園、太宰府天満宮、福岡城跡、鴻臚館跡も観覧した。ゼミで習った変体かな(くずし字)が多く展示されており、学生たちがそれを一心に読んでいた姿が印象的だった。

国際文化学科教授 武藤那賀子(日本古典文学)