船越教授の最終講義

今年度末で退任される船越公威教授(生物学)の最終講義が2月28日に学内で開催され、学内外から約50名が受講しました。

船越教授は昭和62年に「生物学」担当の助教授として社会学部(現福祉社会学部)に着任し、平成4年には教授に昇任。国際文化学部には、平成12年の学部開設と同時に社会学部から移籍し、「生命科学」「生命進化と人の起源」「動物の生態と社会」などの科目を担当しながらゼミナールでも学生を指導。学部と大学院国際文化研究科の両方で研究と教育に大きく貢献されました。また、哺乳類学の専門家として鹿児島県環境審議会、同希少野生動植物保護対策検討委員会などに加わって、外来種をはじめとする害獣や希少動物の分布状況の調査および対策に取り組み、地域社会に多大な貢献をなさっています。

小林潤司学部長の紹介に続いて行われた最終講義「コウモリの世界に魅せられて」では、学生時代に現地調査で初めて出会って以来40年以上にわたって日本、タイ、マレーシアなどで取り組んできたコウモリ類の生態研究の成果を紹介。その食性の多様さ、繁殖のための戦略、意外に広い活動範囲などについてデータをもとに解説されたほか、飛翔のための翼はもともとぶら下がった状態で昆虫などを捕食するために発達した器官が機能転換したとするユニークな「ぶら下がり先行説」を提起なさいました。

会場には、大学の教職員のほか、ゼミナールの学生および卒業生も多数詰めかけ、謎に満ちたコウモリの世界について情熱的に語る船越教授の言葉に、しばしば驚きと賛嘆の声をあげながら熱心に耳を傾けていました。